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水戸地方裁判所 昭和57年(わ)228号 判決 1982年6月30日

本店所在地

茨城県石岡市若松一丁目四番八号

法人の名称

株式会社木村工務店

右代表者代表取締役

木村光雄

本籍

茨城県石岡市若松一丁目八、一一六番地の五

住居

同市若松一丁目四番八号

会社役員

木村光雄

昭和二年二月一五日生

右の者に対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中嶋三雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社木村工務店を罰金一、二〇〇万円に、被告人木村光雄を懲役一〇月に各処する。

被告人木村光雄に対しこの裁判の確定した日から二年間右刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社木村工務店は、茨城県石岡市若松一丁目四番八号に本店を置き、一般土木建築及び舗装工事等を目的とする資本金一、〇〇〇万円の株式会社であり、被告人木村光雄は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人木村は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部除外及び架空外注加工費の計上等の方法により所得を秘匿したうえ、

第一  昭和五三年六月一日から昭和五四年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が四、九六七万五、七四七円であったにもかかわらず、昭和五四年七月三一日、同県土浦市城北町四番一五号所在の土浦税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が二、八二三万五、〇五九円で、これに対する法人税額が九七九万五、一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額一、八三四万九、七〇〇円と右申告税額との差額八五五万四、六〇〇円を免れ

第二  昭和五四年六月一日から昭和五五年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が七、八五七万六、五六一円であったにもかかわらず、昭和五五年七月三一日、前記土浦税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、九八四万四、三九七円で、これに対する法人税額が一、四五六万六、二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正規の法人税額三、〇〇四万一、七〇〇円と右申告税額との差額一、五四七万五、五〇〇円を免れ

第三  昭和五五年六月一日から昭和五六年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際所得金額が九、〇〇七万四、七九八円であったにもかかわらず、昭和五六年七月三一日、前記土浦税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が三、九〇六万一、三一八円で、これに対する法人税額が一、四九〇万円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって、不正の行為により、被告会社の右事業年度における正親の法人税額三、六三〇万二、三〇〇円と右申告税額との差額二、一四〇万二、三〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示事実全部について

一  被告人の当公判廷における供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(二通)

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(九通)

一  木村光江の検察官に対する供述調書

一  本橋明(三通)、嶋田信煕(二通)、須田山功、木村康司及び南條一の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一  被告会社株式会社木村工務店に関する登記簿謄本

一  土浦税務署長作成の昭和五七年一月五日付証明書

一  検察事務官川澄重喜作成の昭和五七年三月二四日付電話聴取書

一  検察事務官長澤忠作成の昭和五七年四月二〇日付「申告書提出日の特定について」と題する書面、同年四月一九日付捜査報告書及び同年四月二六日付捜査報告書

一  検察官権藤世寧ほか一名作成の昭和五七年四月一九日付捜査報告書

一  大蔵事務官五味友哉作成の昭和五七年三月一五日付調査所得の説明書(三通)

一  大蔵事務官井出雄作成の昭和五七年一月二八日付工事収入除外額及び各期末工事未収金除外額調査書

一  加藤健一、滝田昌輝、松下敏己、斉藤患雄、金谷協六、酒井正敏、海老沢仁、高木秀行、井上正士及び冨田英裕作成の各答申書

一  株式会社木村工務店代表取締役木村光雄及び木村光雄作成の「工事収入除外答申書」と題する書面及び「架空原価の答申書」と題する書面

一  大蔵事務官五味友裁作成の昭和五七年二月八日付架空水増工事原価調査書、同年二月九日付架空給与手当の調査書、同年二月九日付簿外給与手当調査書、同年二月一九日付簿外寄付金調査書、同年二月一九日付簿外消耗品費調査書、同年二月九日付減価償却費(工事原価)調査書及び同年二月一〇日付未払源泉税調査書

一  大蔵事務官藤巻義弘作成の昭和五七年二月三日付事業税認定損調査書、同年二月五日付交際費の損金不算入調査書、同年二月一七日付簿外現金預金調査書及び同年二月一〇日付個人収支調査書

一  大蔵事務官飯塚要作成の昭和五七年二年九日付簿外預金及び受取利息調査書

一  大蔵事務官藤巻義弘作成の昭和五六年一〇月二七日付写真撮影てん末書

(法令の適用)

第一被告会社株式会社木村工務店関係

1(1)  判示第一及び第二の各所為について 法人税法一五九条、一六四条一項(昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律附則五条により、同法による改正前のもの)

(2)  判示第三の所為について 法人税法一五九条、一六四条一項

2  併合罪の処理について 刑法四五条前段、四八条二項

第二被告人木村光雄関係

1(1)  判示第一及び第二の各所為について 法人税法一五九条(昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るため国税関係法律の一部を改正する法律附則五条により、同法による改正前のもの)(懲役刑選択)

(2)  判示第三の所為について 法人税法一五九条(懲役刑選択)

2  併合罪の処理について 刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の重い判示第三の罪の刑に法定の加重)

3  刑の執行猶予について 刑法二五条一項

(裁判官 立原彦昭)

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